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バスターミナル東京八重洲 第1期エリア
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建築デザイン / プロジェクトデザイン / デザインマネジメント / インテリアデザイン / サインデザイン / プロダクトデザイン / BIM活用
東京駅前に開業した、国内最大級となる高速バスターミナルの第1期エリア。八重洲地区における3つの再開発事業の足元に、段階的に開業するバスターミナルを一体的に整備するため、空間デザイン、デザインマネジメント、事業推進支援を目的としたデザインディレクションを実施した。
バスターミナルは「乗降口に急いで向かう」「発車時間まで寛ぐ」「待機列に並ぶ」など、目的と速度の異なる利用者行動がワンルームに共存する。交通施設として分かりやすく、空間自体が利用者の多様な行動を誘う仕掛けになることを目指し、建築とサイン、照明、FFEのトータルデザインを行った。「夜空に浮かぶ明るい雲」をモチーフに、ワンルームを大きく流動空間と滞留空間に分け、それぞれに空間的なシンボルを与えた。
乗降ゲートを繋ぐ流動空間は、暗転した高天井と道標となるライン照明で視認性を高め、待合や発券所等の滞留空間は、「雲」を模した有機的なフォルムの下がり天井を間接照明で照射し、旅立ちのシーンを演出する。
仕上計画やディティールでは、公共交通施設に求められる耐久性・機能性と非日常感のある意匠性の両立を図った。
検討には計画内容の可視化に優れたBIM(3次元情報モデル)を用いることで、所有者、運営事業者、再開発組合、実施設計・施工者等からなる、多数事業関係者の合意形成を支援。皆が同じ方向に進みたくなる意思決定のプロセスもデザインすることで、再開発事業において当初に掲げたデザインコンセプトを実現した。
また、こうした大規模プロジェクトでは、発注主体の差異により、統一感のないデザインとなりがちなサイン、FFEといった関連工事について「デザインガイドライン」を作成した。床オーナーであるクライアントよりガイドラインを発行したうえで、デザインマネジメントを空間デザイナーが実施することで一体感を醸成した。開業後2年を経た今も、日々変動する運営に合わせ生じるサイン、FFE改修にデザインマネジメントを行い、施設の成長に並走しながら空間全体の統一感を担保している。
サインデザインでは、情報の優先順位を丁寧に読み解いた。待合において最も重要となる、乗降口を示すナンバーサインは、邪魔な存在となりがちな地下空間の列柱をサインボードに活用し、最大限に大きく掲示することで、空間全体のアクセントとしても機能している。列柱の仕上を亜鉛メッキ鋼板、ナンバーサインをカッティングシートとし、順次開業するプロジェクト特性にあわせ、簡易に表示を変更することを可能とした。
開業後2年を経た今も、日々変動する運営に合わせ生じるサイン、FFE改修にデザインマネジメントを行い、施設の成長に並走しながら空間全体の統一感を担保している。そして、2029年度の3地区のグランドオープンにむけ、第1期の計画思想を後続地区へ継承している。
本計画は、国内では機能性のみが追求され、建築家やデザイナーの手にかかることの少なかったバスターミナルというプログラムに、本来あるべき「旅立ちの高揚感」や「非日常性」といった空間体験を付与することで、新たなデザイン領域を切り拓いた挑戦である。
photo: ToLoLo studio
movie: Martin Shoot Direct Edit
data
主要用途
バスターミナル
建設地
東京都中央区八重洲 東京ミッドタウン八重洲 地下2階、地下1階
施主名
独立行政法人都市再生機構(バスターミナル事業主体)
京王電鉄バス株式会社(バスターミナル運営事業者)
敷地面積
13434.12㎡
建築面積
11618.7㎡
延床面積
289733.65㎡
竣工年
2022年8月
主構造形式
地上:鉄骨造(柱CFT造)
地下:鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造
階数
地上45階 / 地下4階 / 屋上2階
credit(バスターミナル区画)
デザインディレクション(統括)
日本設計 ※日本設計在籍時に管理技術者として従事
デザインディレクション(照明)
LOOP LIGHTING
実施設計・施工
竹中工務店
サイン実施設計・施工
日本サイン
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